野生動物の害獣視は間違い
鹿は冬を生き抜く術スベとして、樹皮ジュヒや小樹ショウジュを食べるがこの生態は太古からの常態ジョウタイであり、これで森林が壊滅するとすれば、その主因は人間が明治以来無分別に樹を伐採し、自然に合致しない植林・育木イクボクなどの林政を行ってきた結果である。鹿が高山植物を食することも太古からの摂理セツリである。北海道の森林面積は、全道の71.5%を占め、実面積は5万6千2百平方キロ。昔も今も国立公園内の殆どの地域が経済林として伐木されているが、それは止めるべきであろう。先ず、森林の利用区分を大胆に決めるべきである。私は森林面積の10%、具体的には、大雪山地域23万㌶、日高山地25万㌶、知床・阿寒地域8万㌶の合計56万㌶(これは全道の森林面積の10%に相当)を、総ての自然の保存地とし、伐木・動物の駆除・狩猟を禁止し、未来永劫、そこに暮らす動植物と我らの子孫のために残すべきだと強く思う。そして林業は他所で大いに振興したら良い。作物の獣害は出没箇所に地面から高さ2m迄目幅15cmの有刺鉄線柵を張れば防止出来る。野生動物との共存は「野生生物に対する倫理リンリ(生物の一員として人が為ナすべき正しき道)」の問題である。人が静かな心で自然と共存する日の到来は何時なのか、私はその日を強く望む。
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