「熊と人との共存を真剣に考えよう」


  世界自然遺産指定の知床で、2005年に32頭の熊が殺されているのご存じですか。    門崎允昭


<2006年9月9日北海道新聞「読者の声」に掲載された私の投稿文>

 本紙9月3日の読者の声の「ヒグマと農家の共存策を提示して」を読んで、熊と人との共存を真剣に考えるべき時期だと強く感じた。昨年道内で殺された熊は世界自然遺産指定知床での32頭を含めて568頭である。この数値は40年前と変わらないもので、道内には熊の聖地など全くないのが現状である。
 熊は人を無差別に襲ったりは決してしないし、熊は日本の緊張感ある自然を創出している自然の元締め的獣である。熊と人が共存し得て、初めて本物の自然保護が確立し得たといえよう。そのためには、熊と人が棲み分けした状態で共存を図るべきである。まず奥山での熊の狩猟や駆除は止めることだ。里に熊が出てくる場所は決まっているから、そこには網の目状の有刺鉄線柵を張るといい。それでも執拗に出てくる熊は割り切って殺せばいい。昔熊が民家付近に近づかなかったのは、犬を放し飼いしていた効用である。現在林業では育木のために木に絡んだコクワやヤマブドウを除伐しているが、これらの実は熊をはじめ多くの動物を育んでいるから止めて欲しいし、植林の際にはドングリの種実も撒いて欲しい。



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