戻る

札幌市に適切な熊対策を望む     (2012年7月17日)

 熊を長年研究してきた者として、札幌圏での住宅地への熊出没の市の対応を見ていて、個々の熊の出没原因の見極めが出来ないため、適切な対応を欠いていると指摘したい。  

例えば最近札幌市南区の盤渓・石山・常磐に出て居る熊はいずれも今年の5~6月に、母から自立した年齢1歳5ヶ月令の熊で、出没原因は、母と別れ、新たな生活圏を確立すべく、樹林地を探索していて、林の端に来て、住宅地を見て、そこが如何なる所か、好奇心を持ち、確認学習に出て来ているのである。熊は孤独性が強く、人との遭遇を避けて行動する。よって、人と遭遇する可能性が有る場所に出て来る場合は夜出てくる。しかし1歳5,6ヶ月令の熊は、知恵が未発達で、日中出て来る。この種の熊もあと2ヶ月もすれば、知恵が付き、出て来なくなる。

また満2歳未満の野生熊が人を襲った事例は、過去に無いから、この熊も人を襲う事は先ずあり得ない。だから、巡回警備には銃器ではなく1.5m程の棒の携帯で充分である。またこの年齢の熊は人に寄ってくることは有り得ないが、もし、寄って来たら、大声で叱れば、必ず逃げる。  

また4月20日に、札幌市南区藻岩下の林地で草を食べていた2歳の熊を、危険予防と銃で殺したが、正に生物倫理に反する行為だ。この熊は林地で草を食でおり、そこは樹の葉が茂ると、外部から見え得ない環境で、葉がなく外部から見通せるあの時季でも、熊には安心できる己の環境であり、そこでは、熊が人を気にせず、恐れないのも当然である。その熊の心も見切れないとは熊対策の資質を欠いていると言いたい。  

熊が出没した場合は、まず同所付近での熊の連続出没を防ぐために、その場所の地理を吟味し林地の縁にそって、簡便な太陽電源の電気柵を臨時に張り、熊の出没を防ぎ住民の不安を払拭する対策を望みたい。

戻る